この華麗で壮観な二階だて建筑は、“翠霭楼(スイアイロウ)”です。もとは、上海南市区の火神庙(カシンビョウという火の神を祭る社)の舞台でしたが、1984年この園内に移されました。建物の正面は広々として、迫力があり、二階中央部分の一角は外にせり出し、華麗な装飾が施されています。屋根はひさし部分は、翼のように反り返り、縦横の梁が幾重にも交互に組み合わされた斗拱(トウキョウ)という構造が見られます。円形に組まれた舞台天井には、百羽もの鳥の頭が、梁の间には、二匹の龍の舞う様が精巧に彫刻された珠が装飾されています。龍は鱗まで細かく刻まれ、ことに秀でた建築であることから清代の代表的な建築物として賞賛されています。
現在、翠蔼楼に設けられている展示室にある《玩石斋》には,香港の熙良(キラ)有限公司理事長、胡兆康(コチョウコウ)氏より生前に寄贈された様々な形の珍しい観賞石が陳列されています。中国文化の風情は多種多様であり、石を探し求める觅石(ベキセキ)、石を観賞する玩石(ガンセキ)、石を収集する藏石(ゾウセキ)、石を品評する品石(ヒンセキ)といった分野で卓越したプロを輩出しています。また、石の愛好者にとっては、石に寄せる思い入れは格別であり、どれも非常に細やかに手入れがなされています。山や川から生み出されたこれらの至宝は、天と地の‘気’から創造された非常に珍しいものなのです。胡氏のコレクションはすべて、姿かたちの美しさと、石の持つ‘気’を兼ね備えており、忘れがたいものとなることでしょう。皆様、どうぞ心ゆくまでご鑑賞ください。
この門を出て四方を見渡すと、静かで奥深い竹林の中に身を置いていることにふと気がつくでしょう。“猗园”の名は,《诗经》の“绿竹猗猗(リョクチクイイ)”という竹林の描写よりつけられました。つまり、竹こそがこの古猗园の伝統的特色なのです。1984年古猗园の中に、新たに三十畝余りの竹園が開かれました。その名を“青清园(セイセイエン)”といい、庭園の中の庭園として1988年に竣工しました。青清园は、竹林の庭園というだけのことがあり,珍しい品種の竹が八十種余りを有し、上海地区一番の竹類博览園といわれています。かわいらしさが印象的な弥陀竹(ミダチク);角がとれた四角形をした方竹(ホウチク);黒紫で雅な姿の紫竹(ムラサキダケ);高い竹と低い竹が寄り添って生えている様が、まるで老人と子供が互いに支えあう姿に見立てられた慈孝竹(ジコウダケ);柔かで細かい枝に,密集している葉がゆらゆらと揺れる様が、まるで鳳凰の尾のような 凤尾竹(ホウライチク);一年の四季を通じて生える四季竹(シキダケ)等がみられます。では、ここから東に数十メートル進むと、幽玄の美を湛えた古猗园新园区に入ります。